大きな掌がテスタメントの項(うなじ)から背をなでている。幾度も幾度も。 暖かくて強い父さんの手が大好きだった。 僕をからかっていつもわざと僕の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。 でも父さんは……僕は……私が 胸の痛みを思い出してテスタメントは微睡みの縁からほんの少し浮上した。 ああ、そうか。私はまた彼にもたれて寝てしまっているのか。 酒に酔うような身体ではないはずなのに、 人好きのする笑顔に強引に勧められて杯を傾けているうちに いつの間にかうとうとしているのはどうしてだろう。 黙って肩を抱いていたり、膝にもたれさせて髪をなでたり、 空賊の頭領はそんなことをする。 この掌は彼の…… テスタメントは薄く瞼を開けた。 焦点の定まらない目に映ったのは赤い色だった。 赤いジャケット、赤い剣、赤い……赤い? 「まだいい。まだ眼を開けるんじゃねぇ。」 上向きかけたテスの頭は逆に厚い胸にしっかりと抱き込まれた。 「そのまま−、できるならずっと眠っていろ。」 テスタメントは言われるままに目を閉じた。伝わってくる胸の鼓動が心地よかった。 「この世界がおわるまで」 首を寝違えた日にふと筆が滑ったもの。人称とかキャラ設定とかその他諸々全てすっ飛ばしてしまいました。素面で読むと恥ずかしいから3日くらい経ったら下げることにしようかと(^^;;; |